尿漏れと漢方治療
第1部 尿漏れを改善する骨盤底筋エクササイズ(尿漏れの原因は骨盤底筋のゆるみ/尿漏れのタイプと症状の自己チェック/代謝機能も高める複式呼吸を身につける/骨盤底筋にしなやかな強さを取り戻す簡単体操/「いつでも」「どこでも」ながらエクササイズ/骨盤底筋エクササイズのおさらい)/第2部 骨盤底筋に負担をかけない腹筋と配筋をつける(腰に負担をかけないで腹筋をつける/身体の前後のバランス。背筋をつける)/第3部 尿漏れの予防・改善と「正しく歩く」ということ(若い世代の尿漏れと下半身の弱体化/足は第二の心臓。足のしくみと役割 ほか)/第4部 尿漏れの予防・改善と足裏反射療法(血行と神経の働きを活発にする足裏反射療法の目的/尿漏れに関する反射区と正しい揉み方 ほか)/足裏反射療法と尿漏れ症例報告(仕事のストレスと肥満で尿漏れに悩んでいた32歳独身OL/二人目の子供を産んでから尿漏れが起きるようになった冷えと便秘で悩んでいた41歳主婦 ほか)
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尿もれの治療は、生活の質(QOL)への影響によって受けるかどうか本人が判断することが多いものです。
このような場合の治療では、しばしば漢方療法が効果を発揮します。
漢方の考え方は、西洋医学のように、臓器のある一部分だけをなおすというよりは、その人の全身の状態を改善し、困っている症状を軽減・解消していこうというのが基本だからです。
西洋医学の薬を使えば、頻尿の場合、回数を半減することもできるでしょう。
しかし、口の渇きや便秘など副作用が出ることが気になります。
一方、漢方薬の場合、同じ期間使っても、排尿回数は半減とまではいかず、せいぜい70%ぐらいまでの減少でしょう。
ただし、副作用はあまりありません。
効き目の早さを期待するなら西洋医学の薬ですし、効き目は穏やかでも副作用の心配を避けたいなら、漢方薬もおすすめです。
私は、西洋医学の薬では効果が認められない場合や、副作用が強くあらわれた人などに漢方治療を行っています。
また、西洋医学の薬と併用して処方する場合もあります。
ここで簡単に、漢方治療の基本となる要素について触れておきましよう。
漢方治療では、体は「気」「血」「水」のバランスにより保たれると考えます。
「気」というのは、体を動かす源となるエネルギーのようなものだと考えてください。
目には見えない「気」というエネルギーによって、「血」や「水」を勤かしていると考えます。
「血」は全身に栄養や酸素をめぐらす役割を持ち、西洋医学でいう血液やホルモンのような働きをしています。
「水」は、唾液や胃液、涙、汗、精液など、血液を除くほぼすべての体液のことで、筋肉や皮膚、骨、脳髄などに栄養を補給したり、免疫機能を担う働きがあると考えられています。
心身が健康であるためには、この「気・血・水」がバランスよく体をめぐっていることが大切になります。
尿もれにはいくつかの原因がありますが、これを漢方からみると、ひとつは、その人がもともと持っ血液以外の体液免疫機能を担う役割もている体質により、骨盤底筋や靭帯が弱くなっていることがあげられます。
腹圧性尿失禁のおもな原因はここにあると考えられます。
骨盤底の筋肉や靭帯が弱くなっているというのは、体が元気を失っている状態です。
このような状態を漢方では、「気虚」と呼びます。
「虚」とは、ある物質や機能が足りなくなっている、弱まっているということです。
漢方的な別の考えに立つと、尿もれは、老化により、脳や脊髄の血のめぐりの悪化が原因と考える場合もあります。
これは、加齢によって「腎」が衰えるために起きると考え、漢方では 「腎虚」 と呼ばれており、治療ではこれを補うような処方をします。
膀胱の粘膜に異常が起きていることが原因の尿もれを、漢方的な考え方では、粘膜下に「水」が滞っている状態、つまり「水滞」と診断します。
治療は、その悪い「水」を取り除くような処方となります。
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